2010年1月27日水曜日

取り消し裁決。給付基礎日額が9,253円から13,045円に

たまには 業務関連のことも書きます。

こんなのを 眺めていた。
すると、 こんな裁決が。

要点。
うつ病に起因する縊死により死亡し、業務上の事由によるもの
として労災認定されていたが、実際に支払われていない時間
外手当等に対する賃金も算定基礎に含めるべきとして、原処分
を取り消したもの。給付基礎日額が9,253円から13,045円にハネ
あがったケースだ。

上司Aの「午後7時か8時頃帰社していた」との申述があり時間外
労働していたことが認められるが、給与は毎月274,500の定額のみ
で、取締役総務経理部長は、「営業手当の中に時間外手当を含
んでいる。」として割増賃金は支給されていなかった。
しかし、営業手当については給与規定第○○条において、「本人の
熟練度等を勘案し、段階的な加減を行う。」と規定され、役職によ
って手当の額が定められており、そこに時間外手当が含まれてい
るとみることはできない。

よって 標題のとおりの結果に。


差額4000円弱の、給付再計算だろうから こりゃあ 大きいね。

いずこかの 社労士様がやられたのかどうか知りませんが、
もしそうであれば 大いに感謝されたでありましょう。

ところで、こういう場合、
(1)未払い分とされた給与は 払わねばならんぼでしょうかね?
また、
(2)労働保険料の申告にも影響するんでしょうかね?つまり、
   保険料の再確定するんでしょうか?

ま 顧問契約事業所での労災事故だとすると なかなか着手し
にくいケースではありますな。

現役を引いたら、こんな事案だけ追っかけてお小遣い稼ぎでも
しようかな。
リンク切れすると あとで探すの厄介なのでc&pしときます。
(以下は paste のみ   )

事件番号等
 平成18年労第483号(給付基礎日額関係事件)・取消
概 要
 被災者の遺族補償給付に係る給付基礎日額について、実際に支払われていない時間
外手当等に対する賃金も算定基礎に含めるべきとして、原処分を取り消した事例

要 旨
1 事案の概要及び経過
  請求人は、被災者がうつ病に起因する縊死により死亡したのは、業務上の事由に
 よるものであるとして、監督署長に遺族補償給付及び葬祭料の請求をしたところ、
 監督署長は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであると認め、給付基礎日額
 を9,253円と算定して遺族補償給付及び葬祭料を支給する旨の処分をした。

2 当審査会の判断
(1)労災保険法第8条においては、労災保険給付(現金給付)の額の算定の基礎と
  なる給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とすることと
  されている。そして同条において、平均賃金は、原則として、これを算定すべき
  事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除
 して算定することとされており、この場合の「支払われた賃金」とは、現実に既
  に支払われている賃金だけではなく、実際に支払われていないものであっても
  事由発生日において、既に債権として確定している賃金をも含むと解釈すべきで
  あるとされている。また、同条第2項において、「平均賃金を算定すべき事由の
  発生した日以前3か月間」の期間は、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切
  日から起算することとされており、さらに、同条第4項において、「賃金の総額
  」には、臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われた賃金は
  算入しないとされている。

   そこで、本件についてみると、被災者の給与体系は、月給制で基本給と諸手当
  からなる一定額となっており、本件請求に係る給付基礎日額の算定においても毎
  月一定額によって算出されている。

   一方、被災者の勤務状況についてみると、被災者はほぼ毎月午前8時半頃出勤
  し、営業に関する事務を処理し、その後営業職として外回りの営業に従事してい
  たものと認められ、営業から事務所に帰社後は当日分の営業日報の作成、集金し
  た分のPOS入力及び店舗の金庫への入金、値引清算書の作成、単価マスターの
  作成及び管理台帳の作成業務等を行い退社していたものと認められる。被災者の
  出勤、退勤の状況については、上司Aは「被災者は通常朝8時30分頃事務所に
  出勤し、外回りの営業に出て、夕方5時から6時頃事務所に戻り事務処理を行っ
  た後、午後7時か8時頃帰社していた。」と述べていることからも認められる。

(2)被災者は、事務所外で営業に従事しているものの、常態として、朝夕、出勤又
  は事務所に帰社しており、また、会社は当時みなし労働時間制は導入していなか
  ったものであり労働基準法第38条の2に規定する、いわゆる「みなし労働時間
  制」が適用されないもので、会社の就業規則第25条第1項によれば、「所定労
  働時間は始業時刻:午前9時、終業時刻:午後5時30分、休憩時間:正午から
  午後1時まで」と規定されている。したがって、この所定労働時間以上に労働に
  従事すれば、時間外労働をしたことになる。時間外労働手当について、B取締役
  総務経理部長は、「営業手当の中に時間外手当を含んでいる。」と申述している
  が、営業手当については給与規定第18条において、「本人の熟練度等を勘案し
  、段階的な加減を行う。」と規定され、役職によって手当の額が定められており
  、そこに時間外手当が含まれているとみることはできない。

   したがって、被災者が事務所で事務処理に従事した時間は、所定労働時間を超
  えて時間外労働に従事したとして、割増賃金の支払いが必要になるものである。

(3)そこで、上記(1)により、被災者の労働時間の状況に基づき、時間外労働時
  間、休日労働時間及び深夜労働時間の状況を整理すると、次表のとおりである。
       深夜及び休日以外の  深夜労働時間数  休日労働時間数
           時間外労働時間数   X年 
   2月21日~  53時間50分      ―――      ―――

    3月20日

   X年

   3月21日~   51時間        1時間      13時間

    4月20日

   X年

   4月21日~   55時間        ―――     9時間30分

    5月20日

    ※ X年3月21日及び4月29日の休日労働日については休憩時間を1時

     間とした。

(4)上記(3)に基づき、被災者の平均賃金を算定した上で給付基礎日額を算定す
  る。

  イ まず、被災者の労働時間1時間当たりの賃金額(以下「時間単価」という。
   )を計算すると、基準内賃金(基本給、職能給、営業手当、役職手当)を月に
   おける所定労働時間数で除したものが時間単価となる。基準内賃金合計額は
  219,500円/月(基本給:115,200円、職能給:44,300円、

   営業手当:30,000円、役職手当:30,000円)であり、また、1か
   月平均の所定労働時間数(月によって所定労働日数が異なるので年間所定労働
   日数である242日を12で除し、1日の所定労働時間数を乗じたもの)7時

   間30分×242日÷12月=151時間15分/月となるから、時間単価は
   、219,500円/月÷151時間15分=1,451円(円未満四捨五入
   )となる。

  ロ そこで、上記イの時間単価(1,451円/時間)を用いて、平均賃金算定
   事由発生前3か月間に被災者に支払われた賃金額(平均賃金算定事由発生時に
   おいて支払を受ける権利が確立していたものを含む。以下「3か月間の賃金総
   額」という。)を算出すると、次の(イ)~(ニ)のとおりである。なお、平
   均賃金算定事由発生日がX年5月30日とされるので、労働基準法第12条の
   規定により、その直前の賃金締切日である同年5月20日以前3か月間(2月
   21日~5月20日までの期間)について会社から被災者に対して支払われた
   賃金の総額が3か月間の賃金総額ということになる。

    被災者に支払われた毎月の賃金総額(毎月一定額の274,500円)には
   法定時間外労働(月曜日~金曜日)に係る割増賃金(割増率25%)、深夜労
   働に係る割増賃金(割増率50%)、休日労働に係る割増賃金(割増率35%
   )がいずれも含まれていなかったものと認められるから、毎月の賃金総額に加
   えてこれらの賃金額を支払うものとして算出するものである。

   (イ)2月21日~3月20日分

     ○賃金総額   274,500円

     ○時間外労働分 1,451円×53時間50分×1.25=97,94

             3円

      合計     372,443円(円未満四捨五入)

   (ロ)3月21日~4月20日分

     ○賃金総額   274,500円

     ○時間外労働分 1,451円×51時間×1.25=92,501円

     ○休日労働分  1,451円×13時間×1.35=25,465円

     ○深夜労働分 1,451円×1時間×1.50=2,177円

      合計     394,643円(円未満四捨五入)

   (ハ)4月21日~5月20日分

     ○賃金総額   274,500円

     ○時間外労働分 1,451円×55時間×1.25=99,756円

     ○休日労働分 1,451円×9時間30分×1.35=19,589

             円

      合計     393,845円(円未満四捨五入)

   (ニ)3か月間の賃金総額

      上記(イ)~(ハ)から、3か月間の賃金総額は、372,443円+

     394,643円+393,845円=1,160,931円となる。

  ハ 平均賃金は、上記ロで算出した3か月間の賃金総額を当該3か月間の総日数
   (89日)で除して算出される額であるから、1,160,931円÷89日
   =13,045円(円未満切り上げ)が被災者の給付基礎日額となるものであ
   る。

(5)以上のとおりであるから、監督署長が給付基礎日額を9,253円と算出して
  請求人に対してした遺族補償給付及び葬祭料の支給に関する処分は妥当でなく、
  取り消されなければならない。

1 件のコメント:

  1. なるほど・・・

    情報提供ありがとうございます・・・

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