2012年5月8日火曜日

いわゆる5番6番、、、(2)

続きです、どうぞ。


(4)本件事故当時,A社の従業員は,いずれも現場作業にのみ従事し,
営業,経営管理等の業務には携わっていなかった。現場の下見は,ほと
んどBが1人で行っており,従業員も同行したことがあるが,それは現
場の作業に携わる従業員も補助として下見に行った方が作業等の計画を
立てやすいということによるものであった。

(5)上告人は,平成12年2月15日付けで,広島中央労働基準監督
署長に対し,法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したが,
同署長は,同13年2月8日付けで,本件事故当時のBの行動は特別加入
者として承認された業務の内容の範囲とは認められないとの理由により,
これらを支給しない旨の本件各処分をした。



3 原審は,上記事実関係等の下において,本件下見行為はA社の営業活
動の一環として行われたものであるところ,A社においては,このような下
見行為は従業員の業務とされておらず,代表者であるBの業務とされており,
本件下見行為を労働者が行う業務に準じたものということはできないから,
本件下見行為中に発生した本件事故によるBの死亡は法28条1項2号に
いう「業務上死亡したとき」に当たらず,本件各処分は適法であるとして,
上告人の請求を棄却すべきものとした。



4(1)法28条1項が定める中小事業主の特別加入の制度は,労働者に
関し成立している労災保険の保険関係(以下「保険関係」という。)を前提
として,当該保険関係上,中小事業主又はその代表者を労働者とみなすこと
により,当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度
である。そして,法3条1項,労働保険の保険料の徴収等に関する法律3条
によれば,保険関係は,労働者を使用する事業について成立するものであり,
その成否は当該事業ごとに判断すべきものであるところ(最高裁平成7年
(行ツ)第24号同9年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事181号25
頁参照),同法4条の2第1項において,保険関係が成立した事業の事業主に
よる政府への届出事項の中に「事業の行われる場所」が含まれており,また,
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則16条1項に基づき労災保
険率の適用区分である同施行規則別表第1所定の事業の種類の細目を定める
労災保険率適用事業細目表(昭和47年労働省告示第16号)において,同じ
建設事業に附帯して行われる事業の中でも当該建設事業の現場内において行わ
れる事業とそうでない事業とで適用される労災保険率の区別がされているもの
があることなどに鑑みると,保険関係の成立する事業は,主として場所的な独
立性を基準とし,当該一定の場所において一定の組織の下に相関連して行われ
る作業の一体を単位として区分されるものと解される。そうすると,土木,建
築その他の工作物の建設,改造,保存,修理,変更,破壊若しくは解体又はそ
の準備の事業(同施行規則6条2項1号。以下「建設の事業」という。)を行
う事業主については,個々の建設等の現場における建築工事等の業務活動と本
店等の事務所を拠点とする営業,経営管理その他の業務活動とがそれぞれ別個
の事業であって,それぞれその業務の中に労働者を使用するものがあることを
前提に,各別に保険関係が成立するものと解される。
したがって,建設の事業を行う事業主が,その使用する労働者を個々の建設
等の現場における事業にのみ従事させ,本店等の事務所を拠点とする営業等
の事業に従事させていないときは,上記営業等の事業につき保険関係の成立
する余地はないから,上記営業等の事業について,当該事業主が法28条1
項に基づく特別加入の承認を受けることはできず,上記営業等の事業に係る
業務に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し,その遺族等が法に基
づく保険給付を受けることはできないものというべきである。



(2)前記事実関係等によれば,A社は,建設の事業である建築工事の請負
業を行っていた事業主であるが,その使用する労働者を,個々の建築の現場
における事業にのみ従事させ,本店を拠点とする営業等の事業には全く従事
させていなかったものといえる。そうすると,A社については,その請負に
係る建築工事が関係する個々の建築の現場における事業につき保険関係が成
立していたにとどまり,上記営業等の事業については保険関係が成立してい
なかったものといわざるを得ない。そのため,労災保険の特別加入の申請に
おいても,A社は,個々の建築の現場における事業についてのみ保険関係が
成立することを前提として,Bが行う業務の内容を当該事業に係る「建築工
事施工(8:00~17:00)」とした上で特別加入の承認を受けたもの
とみるほかはない。

したがって,Bの遺族である上告人は,上記営業等の事業に係る業務に起因
するBの死亡に関し,法に基づく保険給付を受けることはできないものとい
うべきところ,前記事実関係等によれば,本件下見行為は上記営業等の事業
に係る業務として行われたものといわざるを得ず,本件下見行為中に発生し
た本件事故によるBの死亡は上記営業等の事業に係る業務に起因するものと
いうべきであるから,上告人に遺族補償給付等を支給しない旨の本件各処分
を適法とした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採
用することができない。

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